あなたの受け取るもの
昔から通っていた店があります。
古い喫茶店です。
私が学生の頃からよくお世話になっていたお店なので
きっと30年とかそれ以上前からの経営だと思います。
今ですと、超大盛のお店は結構ありますよね。
でもそのお店は、私が通い始めたころからの超大盛のお店でした。
お店のお母さんとマスターは、学生や若い人たちにお腹いっぱいになってもらいたい
という思いで、超大盛のカレーやピラフやスパゲティーを提供していたのだそうです。
地元ではとても有名なお店で、若いころは通っていたという人もきっと多い事でしょうし
値段的にも量的にも助けられた人は多いのではないでしょうか。
私の体の半分は、このお店のカレーとスパゲティーで出来ています!!
お店の改装をするのに、何月何日がよいか?占う事もありました。
その日は、占ってもらった分、お代はいらないよって言ってくれる暖かいお店でした。
お母さんはいつも笑顔で、学生や若いお客さんと色んな話を気さくにしていましたね。
それもこのお店の魅力の一つなのでしょう。
でも、時代の流れですよね。
めちゃめちゃ旨いというよりも、昭和を感じるなつかしい味
古びたお店と渋すぎる店内
何をとっても「いまどき」というお店ではありません。
私と同級生は、1か月に1,2度くらいのペースで通っていましたが
あるとき、おかあさんから言われました。
「私もお店も年を取ってきたし、売り上げも少ないし、もうお店を辞めようかなぁ」
もちろん、私は反対しましたが、年齢に関しても売り上げに関しても
わたしがやってあげられることは、ほとんどありませんでした。
それから1年後、お店は突然閉店・・・
いろいろと心配になりましたが、何も情報が得られないままでした。
それから約半年、お店が再開しました!!
それと同時に聞こえてきたのが、お母さんが亡くなったという訃報でした。
お店側が発表したわけではありませんが、ご近所伝いに訃報を知ったという感じ
でもそれからです。
お店は毎日大繁盛です♬
駐車場には車が入れないほど、あふれかえっています。
きっと、いろんな形でいろんな人が、おかあさんの訃報を聞いたのかもしれません。
学生時代にお世話になった人たちが返ってきたように思います。
若いお客さんは少なめです。体格のいいオッサンたちが超大盛のカレーやスパゲティーを頬張っています。
おかあさんが、いままでお客さんに与えてきたものが、きっと返ってきたのでしょう。
『あなたが与えたものが、あなたの受け取るものです』という言葉を改めて思い出しました。